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遺品整理

遺品整理の料金相場はいくら?費用を安くする3つの方法

「遺品整理」といえば、遺族や親戚縁者が形見分けをしながら故人を偲び、不用品を片付けていく、というイメージでしたが、近年は少々事情が違います。
核家族化が進み、遺品整理は身内の手ではなく、遺品整理業者に依頼するケースが増えています。遺品整理を業者に依頼する際の、料金の相場や内訳、費用を抑える方法をご紹介します。



【監修】遺品整理士協会認定 遺品整理士
片山 万紀子

祖父の遺品整理をきっかけに遺品整理や不用品回収に興味を持ち、遺品整理士協会認定・遺品整理士の資格を取得。ReLIFE(リライフ)のディレクターをする傍ら、年間600件以上の遺品整理に携わる。遺品整理を通して「ありがとう」という言葉をいただけること仕事のやりがいとしています。


1.遺品整理の料金相場表

遺品整理業者に、遺品整理を依頼した場合、多くの業者は「部屋の広さ」「作業人数」「作業時間」を考慮し見積もり金額を提示します。
遺品整理の相場価格は以下のようになっていますが、この価格にオプション料金が発生する場合が多いです。適正価格を知るには相見積もりを最低でも3社に依頼するとよいでしょう。

間取り 料金目安 作業人数 作業時間 トラック台数
(2トントラック)
1R/1K 35000円~100000円 1~2人 1~3時間 1台
1DK 35000円~120000円 2~3人 1~3時間 1台
1LDK/2DK 55000円~250000円 2~3人 2~5時間 1~2台
2LDK/3DK 90000円~410000円 3~4人 3~5時間 1~2台
3LDK/4DK 130000円~650000円 3~6人 4~8時間 2~3台
一軒家 150000円~800000円 3~8人 1~3日 3台以上

また、部屋の広さだけでなく、1立方メートル単位で、相場を算出している業者もあります。
例えば、ワンルームのマンションの場合、 3立方メートルとして換算されることが多く、35,000円以上が一般的な相場です。
間取り換算のケースも、立方メートル換算のケースも、部屋の大きさに対して「適正な荷物量」であった場合の相場です。物が多すぎる部屋にはワンルームであっても2LDK以上の料金がかかることもあります。
遺品整理の料金が相場価格から10万円以上離れているときには、その内訳を確認しましょう。
【10万円以上安い場合】
遺品整理の料金が相場に比べ安すぎる場合には基本料金のみの金額で、「エレベータ料金」「処分費用」などオプション料金が含まれていないこともあります。その他にも不法投棄など不適切に遺品を処分している悪質な遺品整理業者の可能性もあります。
【10万円以上高い場合】
遺品整理の料金が相場に比べ高すぎる場合には、不要なオプションがついている場合や作業人数、トラック台数が必要以上に多い可能性があります。気になることは契約前に確認しましょう。
遺品整理業者によっては作業人数やトラックの台数を増やし、1つの現場にかかる時間を短縮しています。これは1日に複数の依頼を受けるためです。このように納得できる理由があれば、相場料金より高くて問題ないでしょう。

2.遺品整理の料金相場に65,000円以上の幅がある理由

同じ広さや間取りの家でも遺品整理の目安価格には65000円以上の幅があります。相場に幅があるのは「業者によって差がある」ということもありますが、物の量や状態が異なることが大きな要因です。遺品整理現場には十人十色のドラマがあるため、遺品の種類やその量も様々です。一概に大きさで決められないので各遺品整理業者は「〇〇円~」や「〇〇円より」と表記し、依頼者の想像と実際の料金の差を小さくしています。
相場はあくまでも目安として、遺品整理業者を選ぶ際の参考にしましょう。

3.遺品整理の料金相場に含まれる費用

一般的に遺品整理には以下の費用が掛かります。この費用はどの遺品整理業者でも発生し、処分費用や人件費は地域や法律で定められているので大きく差が開かない料金です。

料金の内訳1.人件費

遺品を整理し、運び出すには、2人以上の作業員の手が必要となります。部屋の状況を見て分別や物が多い場合には、その分作業員の追加を行うか作業時間が長くなるので人件費が高くなります。
人件費は作業員人数と時間単位で費用を割り出します。

料金の内訳2.作業車両費

整理した遺品は、2トントラックで、運び出すのが一般的です。住宅密集地やマンションなど家に面している道路が狭く、2トントラックが駐車できない場合には離れた場所に停めることになります。
移動距離が長いほど作業時間が延び、コインパーキングに停める場合には駐車料金を上乗せする遺品整理業者もあります。
ワンルームでの遺品処理で2トントラック1台分と言われていますが、荷物の量によって、その限りではありません。部屋が広くなり、整理する遺品が多くなるほどトラックの台数が増えていきます。

料金の内訳3.不用品回収運搬費

遺品をトラックに積み込んだら、それらを運搬するにも費用がかかります。
場所や距離は業者によって違いがあり、一度持ち帰って仕分けをするケースや、処分できるものは処分場へ運搬するケースなど様々です。

料金の内訳4.不用品廃棄処分費

遺族が形見分けをした後の遺品は、そのほとんどが不用品の扱いとなります。
全く仕分けをしていない状態だと、遺された品は「家具」「家電」「金属」「ガラス」「プラスチック」「衣類」など細かく分類します。
ゴミと化した不用品は「廃棄物」となり、各自治体の処分ルールに合わせて処分します。
それには費用がかかるので、遺品整理費用の中に、「廃棄処分費」が含まれることとなります。
優良な遺品整理業者では、引き取った遺品をリユースするため市場で販売したり、金属や古紙など資源物をリサイクルして廃棄処分費用を抑えています。リユースやリサイクルには限界があるので、廃棄処分費用は必要です。

料金の内訳5.それ以外のオプション費用

ここまで解説した費用の他に、「オプション費用」として追加料金がかかるケースがあります。
原状回復リフォームやエアコンの取り外し、自家用車やバイクの廃車手続き代行、家屋の解体、遺産相続の相談などが対象です。これらの作業には、専門家の知識や技術が必要となりますので、オプション費用として項目に、設けている業者がほとんどです。
オプション費用の中でも最も高額なのが「特殊清掃費用」です。故人が亡くなられた後、発見が遅かった場合には、血液や体液が室内に付着し、強烈な臭いを放ちます。臭いだけではなく感染症の恐れもあります。
これらを取り除くには特殊な機械や洗剤、防護服、技術、知識が必要なので料金が高くなります。
オプションサービスの費用も安いものではありませんので、本当に必要かどうか、冷静な判断が必要となります。例えば、廃車手続きは自身でも区役所や役場、陸運局、警察署に足を運ぶと可能で、それにかかる費用は交通費や証明書発行手数料のみなので5000円以内に収まるでしょう。

4.遺品整理の料金を相場より安くする3つの方法

遺品整理料金は部屋の広さや物の量に応じて、処分費用や車両費も高くなるので料金相場の半額以下にすることは難しいでしょう。しかし、5000円~10000円程度の料金は以下3つの方法で下げられることが多いです。
1.相見積もりを取る
最低でも3社の遺品整理業者から相見積もりを取り、必ず見積書を作成してもらいましょう。日付や詳細な料金を記載してもらうと、その見積書は他の遺品整理業者と料金交渉の材料になります。
土曜日、日曜日、祝日または時間帯によって追加料金が発生する遺品整理業者もあるので、どの業者にも同じ条件で見積書を作成してもらうと比較しやすくなります。
2.買取り交渉をする
遺品の中に貴金属やオーディオ機器、年式の新しい家電がある場合には買取りしてもらえることもあります。買取り経験が少ないスタッフが査定することもあるので、自身で相場価格の把握をしておくことも大切です。
オークションサイトやフリマアプリを使い、市場価格を事前に調べておくと適正価格でかいとりしてもらえます。買取可能な遺品がある場合には、依頼したい遺品整理業者が買取りに対応しているかを確認しましょう。
買い取り金額は遺品整理料金から引かれることが多いので、実質負担金額が少なくなります。
3.自分で遺品整理する
遺品整理業者に見積もり依頼をする前に、自身でできる範囲の遺品整理をすることでも、料金が抑えられます。事前に分別を行うと遺品整理業者は作業員人数や作業時間、トラックの台数を減らせるのでその分料金を下げてくれるでしょう。
燃えるゴミの日や粗大ゴミの日に不用品を廃棄処分し、遺品の量を減らすのが最も効果的です。
廃棄処分までは難しい場合は、分別作業だけでも構いません。残すもの、残さないものと分けるほかに、冷蔵庫の中身を空にする、書籍を紐でまとめるなど無理のない範囲で行いましょう。

5.遺品整理業者を料金だけで決めてはいけない!

遺品整理業者への需要が増えた分、業者とのトラブルも増えており、消費者センターなどで注意を呼び掛けています。
例えば、見積もりよりも高い金額を請求された、積み込みの途中でトラックがいっぱいになったからと追加料金を請求された、処分しないでほしい遺品を処分された、搬出中に部屋を傷つけられた、などのトラブルが挙げられます。
中でも最も多いのは「過剰請求」で、多くの人が運び出しの現場で追加料金や高額な料金を請求されているため、泣く泣く支払っているのが現状です。
このようなトラブルを避けるためには、次のようなことに注意しましょう。
・見積もりは複数の業者を比較する
・作業内容と料金がきちんと分かるようになっているか確認する
・どんな時に追加料金が発生するかをチェックする
・契約前にキャンセル料の有無を必ず聞いておく
・大切な遺品は事前に分けておく
遺品整理業者にすべてを依頼すると、かなりの金額がかかってしまいます。
費用を安く抑えたい場合は、あらかじめ遺品と不用品を分別しておいたり、部屋に物を少なくしておくことも、業者とのトラブルの予防となります。

6.遺品整理の料金相場まとめ

遺品整理料金の料金相場は決まっていますが、費用を下げることはできます。費用を下げるには時間や労力が伴いますが、一つ一つ故人との思い出に浸り、遺品を整理していくのもよいでしょう。
「遺品」は亡くなった人を偲ぶための大切な品です。
遺しておきたいものは手元に置いて、あとは安心できる遺品整理業者へお任せできれば、これ以上の供養はありません。